特定の疾患に罹患しにくくなるよう、予防的にワクチンを接種しておくことです。具体的には、毒性を弱めた細菌やウイルスから作られたワクチンを前もって体内に投与し、体内に抗体を作っておくのです。これにより、特定の感染症に罹患しにくくなります。
当クリニックで実施している成人向けの予防接種はインフルエンザワクチンです。それ以外のワクチン接種を希望される方は、別途ご相談ください。
インフルエンザは、ご承知の通りインフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であり、毎年、寒い時期に猛威を振るいます。このウイルスに感染すると、1~3日程度の潜伏期間を経て発症し、高熱や悪寒、全身のだるさ、関節痛・筋肉痛、激しい咳、吐き気、下痢など症状が見られます。体力も低下し、多くの場合は寝込むようになります。
合併症がない場合、ほとんどの症状が2~3日で収まりますが、熱は5日程度、咳は10日以上続くこともあります。感染力が強く、免疫力が低下している高齢者をはじめ、乳幼児、呼吸器や心臓疾患がある場合は肺炎を併発し、重症化することもあります。病気を患っている方がインフルエンザを併発すると、入院が必要となったり、死に至ることもあります。
インフルエンザを予防する手段として、特に有効とされているのがワクチン接種です。接種してから予防効果が出るまでに約2週間かかりますが、その効果は約5か月間持続します。通常、12~翌年3月頃の寒い時期に流行していますので、その前に予防接種を受けるよう心がけてください。
10年前から欧米で承認されているワクチンです。このたび、日本で承認されるだけでなく国内生産が始まり、接種も可能になりました。
以前から我が国で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンでしたが、フルミストは弱毒化ワクチン(生ワクチン)です。
これまでのインフルエンザワクチンはウイルス中和IgG抗体を産生して効果が出るわけですが、フルミストはIgG抗体だけでなく、鼻粘膜の粘膜面に分泌型抗体のIgA抗体を産生します。これによって、フルミストは感染予防効果、重症化予防効果に加え、弱毒化ワクチンが感染することにより体内に細胞性免疫を誘導するため、型が異なるインフルエンザウイルスに対しても感染予防効果があります。また、不活化ワクチンの有効期間が4か月に対して、1回の接種で1年間効果が持続します。特にインフルエンザに感染したことが少ない小児に対しては、鼻腔粘膜にIgAが乏しいといわれています。そのため、フルミストの接種が強い感染予防効果を発揮すると考えられ、我が国では対象年齢は2歳以上19歳未満となっています。
当院では通常のインフルエンザ接種は3歳以上に行っているため、フルミストも3歳から18歳までとさせていただきます。
特に鼻汁の強いお子様は再診であっても鼻症状が落ち着いてから接種予定とさせていただきます。
また、接種後30分間は院内で様子を見たいので、午前は9時から10時半まで、午後は15時から16時までの来院とさせていただきます。