口腔や鼻腔、食道上部などの咽頭、気管支上部にある喉頭は、主に3つの重要な役割を担っています。ひとつ目は、食べた物を消化器系へと導いていく入り口としての役割。ふたつ目は、鼻などから取り入れられた空気から細菌などを除去し、肺などの気管支系へと導いていく入口としての役割。さらには、声を発するときには、声帯が適度な強さで閉じ、きちんとした大きさ、音色で発声できるようにするという重要な働きもあります。喉は体の中心に位置する重要で敏感な臓器で、病気が見られなくても違和感などの症状が出やすいこともあります。
そのため、咽頭炎や扁桃炎、嚥下障害、喉頭炎、唾液腺炎などの病気になると、生活の質が大きく低下します。また、咽喉頭異常感症のように、病気とは言えないまでも、のどの違和感が続くこともあります。中には、口腔がんや咽頭がん、喉頭がんのような疾患もありますので、気になる症状を自覚された方はお早めに耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。
このような症状の方はご相談を
舌の付け根の上側の両サイドにある口蓋扁桃というリンパ組織にウイルスや細菌が侵入し、急性の炎症を引き起こす病気です。咽頭の痛みとともに、高熱や頭痛、全身の倦怠感、関節痛などの症状が見られた場合、この疾患が疑われます。
この疾患の原因がウイルス性の場合は、解熱剤を服用し、安静にしていることで通常は快方に向かいます。細菌性の場合は、病状に応じて抗生剤を点滴投与あるいは内服投与するとともに、症状を和らげるための解熱剤、消炎鎮痛剤などを処方します。
口蓋扁桃が腫れて肥大することに伴い、様々な影響を引き起こす病気です。食物が喉を通りにくくなったり、空気の通り道が狭くなって呼吸困難になったり、いびき、睡眠時無呼吸などの症状が見られるようになります。
治療に際しては、まず抗菌薬を静脈内に注射します。水分や栄養不足のおそれがあるときは点滴を行います。さらに、腫れている部分を切開して膿を排出することもあります。これらによって症状が治まる場合は良いのですが、何度も悪化するときは扁桃の摘出が勧められます。
鼻腔や口腔の奥にある管状の器官(咽頭)に炎症が起こる疾患です。咽頭粘膜が赤く腫れ、食物などを飲み込むときに激しい痛みを感じたり、咳、痰、倦怠感、頭痛、発熱などの症状が見られるようになります。咽頭は耳にも神経がつながっていますので、耳の奥に痛みや不快感が広がるケースもあります。
治療にあたっては、まず咽頭に炎症を起こしている原因を突き止め、この病気に対処します。最も多い原因は風邪症候群なので、安静、保温、保湿、適度な水分と栄養補給などを行ったうえで、消炎鎮痛剤や抗菌薬を使用。これらによって喉の痛みを改善していきます。
咽頭の下、気管支の上部にある器官に炎症が起こる疾患です。呼吸をするときに喉がイガイガしたり、異物感を感じたり、痛みを感じたりします。咽頭部には声帯もあるので、声がかすれたり、ひどい場合は声が出なくなります。この炎症によって発熱や頭痛、吐き気などの症状を併発することもあります。
味覚に支障を来たし、食べ物の味が分からなくなったり、本来とは異なった味を感じたりする病気です。
以前は高齢者の疾患と言われていましたが、最近は若年者にも多く、給食の味を上手く感じ取れないといった悩みで医療機関を受診する方も増えています。
以前から亜鉛不足などが原因と指摘されていますが、原因不明の場合も多く、当院では、亜鉛含有薬剤と漢方薬、胃腸薬の併用加療で対応しています。