鼻は、大きく分けて3つの重要な役割があります。
ひとつ目は、においを嗅ぐ機能です。他の哺乳類と比較するとヒトの臭い感知能力は限定的だと言われていますが、それでも腐敗した食べ物の臭いを嗅ぎ分けたり、有毒ガスなどを察知し、食中毒やガス中毒などの危険を避けることが出来るのです。
次に、呼吸器官としての機能です。ご承知の通り、肺に送られた酸素の多い空気は、血液中に溶け込んで全身の様々な器官に運ばれ、二酸化炭素の多くなった空気を再び鼻や口から外気に排出しています。
みっつ目は、上気道の防御機構としての働きもあると考えられています。吸入された空気は、鼻で加湿され、鼻咽頭などリンパ組織の豊富な器官を介して肺に達するわけですので、そのように外気から吸入される空気に対しての防御機構としての働きもあるのです。
急性鼻炎や慢性鼻炎、鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎、嗅覚障害などの鼻疾患に罹患すると、吸い込んだ空気が浄化できなくなったり、においを嗅ぎ分けられなったり、あるいは、鼻詰まりがひどく息をすることが難しくなるなど、様々な不都合が生じます。次のような鼻の症状が見られたときは、お早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
このような症状の方はご相談を
鼻腔の粘膜が慢性的に腫れて炎症が続き、鼻詰まりがひどくなった状態です。主な症状は鼻水と鼻づまりですが、口呼吸となるため、のどの痛みや咳、痰などを併発することもあります。
鼻の周囲にある副鼻腔に細菌やウイルスが侵入して増殖することによって引き起こされる疾患です。風邪などをひいてから1週間ほどして発症し、鼻が詰まったり、黄色くネバネバした鼻水が出たり、頭痛、発熱、目痛などの症状が出現するケースがよく見られます。
慢性副鼻腔炎の場合は、1,2か月気長に耳鼻咽喉科外来受診で7割の方は軽快します。
中には難治性で基幹病院、サージセンターでの手術加療を勧める場合もあります。手術に関しては以前は歯肉からのアプローチが主で術後の合併症もかなりあったのですが、最近は、内視鏡手術が主となり、術後の経過も良好なことが殆どです。ただ、内視鏡手術の発達に伴い、以前では到達できなかった部位にまで手術ができるようになったこともあり、それによる合併症も報告されていますので、熟練した基幹病院、サージセンターにて手術を受けられることをお勧めしています。
鼻づまりなどが発生していないにも関わらず、匂いがよく分からなくなってしまう疾患です。鼻腔に入ってきた匂い成分は、鼻中隔と中鼻甲介の間にある鼻粘膜を通じて嗅細胞に伝わり、その刺激が脳へと届けられるわけですが、この伝達が上手くいかないことにより、臭覚障害が引き起こされるのです。
治療法は、それぞれの症例によって異なりますが、主に嗅覚障害の原因を除去し、症状の改善を目指します。原因疾患として慢性副鼻腔炎、鼻づまり、アレルギー性鼻炎などがあるならば、それらの治療を進めます。