実は新生児の内1,000人に1~2人程度の割合で生まれつき難聴があると言われています。しかしながら、赤ちゃんは大人のように音を聞いてボタンを押すような聴力検査はできないため、2,3歳になってから言葉の遅れや呼びかけに気づかないなどの状態に気づいて、はじめて難聴を疑いだすというケースは少なくありません。
そのため小児難聴は早期発見が重要です。発見が遅れれば言葉の獲得の遅れだけでなく、コミュニケーションが思ったように取れず、発達発育の面から心配が生じます。
先天的な難聴の場合、そのものを治癒させることは難しいですが、早期発見によりお子様に対して早期に聞こえやすさのサポートができることがメリットです。
場合によっては、補聴器や人工内耳などによって言語リハビリを行うこともできます。
お子様の検診での指摘等があった場合、検査が可能ですので当院までご相談ください。
人間が音を認識する仕組みは外耳から中耳へ、次に内耳と振動となって神経に伝わり音として認識しています。また、正常の内耳であれば内耳、中耳、外耳の順でごくわずかな音が常時反射されています。これを自音響放射(OAE)と言います。 当院ではお子様の難聴の早期発見のためDPOAE(歪成分耳音響放射検査)を実施しています。この検査では内耳から放射されている音を測定します。聴覚に何らかの異常がある場合は測定レベルが検出されない、ないしごくわずかになります。
検査は耳にイヤホンを装着し数10秒で終了します。動きやすい赤ちゃんの場合はベットで寝ころんだ状態で検査を行います。痛みなどもなく比較的すぐ終了するので小さなお子様でも問題なく行うことができます。
お子様の難聴だけではなく、突発性難聴を疑う際にもDPOAE検査は有効です。聴力検査は必須で行いますが、それに加えてDPOAEを行うことで外有毛細胞の障害を検出することができます。今後の治療を検討する意味合いで、より正確な診断が期待できます。